
村外れに立つ6体の地蔵は、大晦日の今日も街道を行き交う人々を見守っていたが、雪が降りしきる夕暮れとなり、誰からも顧みられることなく凍えていた。
行商からの帰路で通りがかった心優しい老人だけがその窮状に気付き、積もった雪をはらって、売れ残った5つの笠をお地蔵様に捧げ、最後の一体には自ら被っていた手拭いをかけて帰宅した。
真夜中になると6体の地蔵は、その真心に応えるべく村々を歩いて老人の家を探し当て、正月のお餅やご馳走、財宝をドサリと戸口において、静かにお堂へと帰っていった。
周囲の人は当たり前として見過ごしている「声なき困りごと」に気付き、手を差し伸べたことが、後の予期しない成功へとつながった経験

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